新参者II。

For HARUMA。

「ふれる」(12)/海外で活躍すること自体が俳優として僕が目指すところではない。

 

 

 

勇者のキミたちへ。

 

 

 

 

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三浦春馬作品「ふれる」。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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二〇一五年

 

正直なことをいうと、当時の僕は俳優としてどうあるべきか、それほど深く考えていなかった気がしています。というより、自分なりに考えてはいたけれども、全然考えが足りていなかった。演技が上手くなりたい、やったことのない役を演じてみたい、俳優としてまだ見ぬ景色を見てみたい、、、

そんな漠然とした思いの延長線上に「海外で仕事をしてみたい」という思いがありました。海外で撮影をすること自体に、単純に憧れを抱いていたのです。

2013年に上海で撮影した『真夜中の五分前」では、本当にいろんなことを学ばせてもらいました。あれから1年以上経って一番印象に残っているのは、この作品を撮り切るんだという行定勲監督の行動力と熱意です。

 

もしかしたらそれは、海外だからとそ経験できたこととは違うのかもしれない。だけど僕が勇気づけられ、ものを作る姿勢として感銘を受けたのは、場所や時代を問わない根本的な部分だったのです。撮影中は、なんとなくしかそれを感じることができませんでした。自分に余裕がなかったのだろうし、ある意味では浮き足立っていたのかもしれない。現場が逼迫したり、文化の違いから生まれる価値観のぶつかり合いもあったけれども、監督についていけば大丈夫と思えたから、こうしてゴールを迎えることができたのだと今は思っています。

映画が完成し、海外の映画祭や中国での公開イベント、日本での舞台挨拶などさまざまな経験をさせてもらい、国内外の方と話をする機会にも恵まれました。中国では観客から、インタビュアーのように作品に深く切り込んだ質問

 

 

 

 

 

 

 

 

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されたり、答えにくい質問にも食らいついてくる姿勢が新鮮でした。

いろんな反応に直に触れ、僕の意見にも興味を持ってもらえるのは、とても磨しいことでした。そして俳優としての自分の考えを再確認する時間にもなりました。

中国、台湾、シンガポールでの公開を経て、2014年末に日本でようやく公開初日を迎え、舞台挨拶で上に立ったとき、ひとつの作品を手放す寂しさを感じました。これまで数多くの作品を送り出してきたけれども、喜びや達成感のほうが強くて、こんな気持ちになったのは初めてでした。

だけどこの感情も悪くないな、そんなふうに思いながら劇場をあとにしたのを覚えています。

いつかまた海外で撮影してみたいか、いろんな人に聞かれました。

「オファーをいただいたら、真摯に向き合っていきたい」、無難でつまらないコメントと思われるかもしれないけれども、それが正直な気持ちです。

僕の好きな俳優さんが、ある雑誌のインタビューでこんなことを言っていました。「日本の映画を盛り上げること、そして日本の映画を海外で当たり前に観られるようになること、それが真の国際化につながるのではないか」。それを読んだとき、妙に納得することができました。

もちろん積極的に海外に出て、活躍するととは素晴らしいし、そう簡単にできることではありません。だけど海外で活躍すること自体が、俳優として僕が目指すところではない。

それ以前にやるべきこと、学ばなければいけないことがある。

海外での撮影を通して気づいたのは、まさにそんなことでした。その結果として”いい景色”を見ることができたら、それに越したととはないと思っています。

 

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春馬くん、

今日もありがとう。